ねこの目にうつるもの

未来の子どもたちへ

私があなたたちになぜこの猫の写真を残したかったかというと、私がこの猫のお話に、とても感動したからです。

 昔はこの猫は居酒屋さんの前に置いてありました。お店に来たお客さんは、みんなこの猫の事が大好きでした。おかげでお店はとても繁盛しました。居酒屋の前にはバス停があり、バスに乗る人もみんな猫の事が大好きでした。しかしお店の事情で、この猫は居酒屋さんの前を離れなくてはなりませんでした。長い間倉庫の中に入っていた猫でしたが、「せっかくなのにもったいない。」と言われ、すぐ目の前にバス停がある、このござらっせの前に置いてもらいました。猫は、みんなにちやほやされていた頃を思い出しながら、ずっとござらっせの前に立っているのです。

私は、この猫の目が、キラキラ光っていると思います。いつかまた、あの居酒屋さんの時のように、みんなの人気者になれる日を、ずっと待っているのだと思います。私は、この猫のおかげで、ござらっせが繁盛するといいなと思います。今までは、この猫の事に気付かなかったけど、みんなが気づいていない所で、ござらっせの守り神としてずっと私たちを見守っていてくれたのかなと思います。
 もしあなたがこの猫を見ても、もしかしたら当たり前のように思うかもしれません。しかし、この猫を作った人がいて、この猫をここまで運んだ人がいて、この猫を可愛がった人がいて、今この猫はここに立っているのです。とても当たり前の事ではありません。もしもその人たちがこの猫を作ったり、運んだりしなかったり、可愛がったりしなければ、この猫はござらっせの前に立っていなかったのかもしれないのです。皆さんも、もしこの猫を見かけたら、心の中で「いつもありがとう。」とお礼を言ってみるといいかもしれません。そうすれば、きっとこの猫も、とても喜ぶと思うのです。

いろちゃん